INTERVIEW

結婚式という、この上ない幸せな空間で、一生に一度の料理を提供できる…。毎日が、自分の料理でみんなを幸せにできる喜びに満ちている。

星野リゾート・軽井沢ホテルブレストンコート
小林龍之介さん

profile.

長野県出身。長野県立小諸高等学校からエコール 辻 東京 辻調理技術マネジメントカレッジへ進学。2013年卒業後、星野リゾートに就職。グループ内の星野リゾート・トマムと星のや軽井沢で1年間、サービス担当としての実務研修を経て、軽井沢ホテルブレストンコートの調理ユニットに配属。主にブライダルの調理を担当し、現在に至る。

食の道に進んで良かったと実感できた、仲間とのかけがえのない時間。

自分のつくった料理を召し上がっていただいて喜んでくれる。それが嬉しくてたまらない。食の世界を目指すきっかけは、よくある経験だった。キャリアサポートの手厚さと、2年間でじっくり自分に合う分野を見つけたいという思いもありエコール 辻 東京の辻調理技術マネジメントカレッジへと進む。
「学んでみて最も惹かれ、思い通りに表現できたのがフランス料理でした。在校中は友人たちと、洋食、和食、中華、各自が得意なものをつくり合う小さなパーティをよく開いていて。お互いがニコニコ笑っている、そんな時間が大好きで、ああ、食の道に進んで良かったと実感していました。今は星野リゾートの軽井沢ホテルブレストンコートでブライダルを中心に担当していますが、このうえない幸せな空間で、一生に一度の料理を提供できる、まさに喜びに満ちた部署です」
出身は長野県。星野リゾートの説明会へ行ったのは、地元が同じ同級生に誘われてのことだった。まだ志望先の方向性すら決めていなかった進級時。
「将来は、地元で店を開き、地元の食材を使って、地元に貢献できる料理人になりたい。そう思っていたのですが、このホテルではまさに、地元生産者とのつながりを大切にした料理を追求していて。ほかにも教育サポートや福利厚生など、あらゆる面が理想的だったので、もう即座に『ここで働きたい』と。先生方からも良い会社だと勧められ、1社目にして本命の内定を獲得できました」
星のや軽井沢 メインダイニング嘉助

“さりげなく、気が利いて、心に残る、ニーズを越えたサービス”を。

入社1年目の実務研修期間は、グループ内の星野リゾート・トマム(北海道)と、星のや軽井沢でサービススタッフとして勤務。フロントでのチェックイン業務や客室の清掃、レストランのサービスなども経験した。
「料理をしたわけではないものの、北海道と信州、それぞれの食材が知れましたし、何より調理場へ入る前に、お客様の顔を見られたのが良かったですね。言葉遣いや所作、礼儀作法も勉強になりました。星野リゾートには“SKKN”…“さりげなく、気が利いて、心に残る、ニーズを越えたサービス”という指針があります。ご要望に応えるのではなく、一歩先を読んで思いも寄らないサービスを届けるという姿勢なのですが、それを心がけた結果、アンケートに僕のサービスが良かったと名指しで書いてくださったお客様がいて。正直、できなくて当たり前だと思っていたのですが、お客様から認めてもらえたことで感激し、その後、料理をするときやお客様の前に出る際にも、良い影響があったと思います」
ブレストンコート ゲイブルハウス

 

正式配属となる2年目には、行きたい勤務先の希望が出せる。迷わず軽井沢ホテルブレストンコートを志望し、調理場での仕事をスタートさせた。
「先輩方がとてもフレンドリーで、学びやすかったです。とはいえ、ダメなところはダメだと厳しく指導してもらえる。『見て覚えろ』ではなく、きちんと論理立てて教育してもらえたので、着実に前進していけました」

お客様の反応を直に目にすることで、早々にやりがいを感じられた。

料理人は感覚的なタイプが多い。しかし星野リゾートでは、食材、調理法、エスプリ、デザイン、その四面体をしっかりと計算し、一皿で形づくることを大切にしている。そう語るのは、軽井沢ホテルブレストンコート総料理長の祢津一宏シェフだ。
祢津一宏シェフ
「東京で15年ほど、さまざまな外資系ホテルや街場のレストランを経験した後、お声がけがあって地元長野のホテルブレストンコートへやって来ましたが、ここまでロジカルに料理と向き合うところは初めてでした」
ホテルブレストンコートには館内外含めて9つのパーティ会場があり、週末には1会場で1日複数回の披露宴を行っている。現在、和食やデザートも含めた調理ユニットに所属しているメンバーは80名ほど。そのうち30名ほどが星野リゾートの正社員だが、ブライダルの場合、いずれは彼らが会場のシェフとなり、チームをまとめる役割を担う。
「調理を始めてから半年ほどで、オープンキッチンのあるパーティ会場に入らせてもらいました。会場内で調理をするスタイルなのですが、そこで僕もお客様に焼きたてのお肉をプレゼンしたり、料理の説明を行ったりしました。お客様の反応を目の当たりにすることで、やりがいをすぐに感じられましたね」(小林さん)
「料理の世界に入りたての頃って、基礎の積み重ねで、モチベーションを保つのも難しいでしょう。だからなるべく早い段階で、お客様と接する機会を設けるようにしています。自分たちの提供しているものを、お客様がどう召し上がって、どう反応されるのか。それを体感して、意欲を高めてもらえたらなと思います」(祢津シェフ)
軽井沢ホテルブレストンコート エントランス

手にした経験を存分に活かし、多くのことを吸収できる冬季異動。

ブライダルはもちろん、『ユカワタン』や『ノーワンズレシピ』、『ザ・ラウンジ』と、食を提供するレストランやラウンジが3カ所あり、希望すればホテルブレストンコート1カ所でいろいろなものが学べる。冬場の閑散期には、約4カ月間、ほかの施設へサポートに行く冬季異動も取り入れている。
メインダイニング 「ブレストンコートユカワタン」
「調理ユニットに入った最初の年はリゾナーレ熱海、翌年は軽井沢内の受託施設、その翌年には星のや京都へ行きました。星野リゾートのなかでも、ホテルブレストンコートは特に料理に定評のある場所。熱海では調理1年目だったにも関わらず、『何かいいメニューやアイデアはないか』と、ハロウィンやクリスマスのプロジェクトにも参加させていただきました。京都は和食だったのですが、何もかもが新鮮で。料理の幅が広がる感覚があり、とても刺激的でした」(小林さん)
星のや京都時代
「引き出しや情報量を増やすためにも、他ジャンルを経験するのは有効ですからね。星のや京都に行っているときでも我々にメールで相談しながら、メニューの提案をしてくれていましたよ。ホテルブレストンコートは規模が大きく、多彩な食材にふれられますが、一方で先輩も多いから、最初のうちは中心に立ちづらい。ここで得た経験や考えを発揮し、自分の料理を表現する場としても、冬季異動は活かされています」(祢津シェフ)
生産者とふれあう

生産者とふれあい、食材をより大切に調理しようという思いが強まった。

生産者との関わりが強く、ふれあう機会も多い。小林さんも先輩たちに誘われ、一緒に農場や牧場、養殖場などへ見学に行き、理解を深めている。
「生産者さんからお話が伺えるのは、すごく強みになっている。これだけ頑張ってつくられたものだから、もっと大切においしく調理しないと…という気持ちになります」(小林さん)
「生産者あっての料理人ですからね。生産者さんの思いをお客様へ伝えることも、料理人としての大事な使命です。息の長い料理人になってほしいという思いもあり、星野リゾートでは、料理の面以外でのサポートも多くあります。その一つが、個人の目標に合わせて受講できる『麓村塾(ろくそんじゅく)』です」(祢津さん)
研修の様子
「麓村塾」とは、バラエティに富んだ100以上の講座からなる星野リゾートのビジネススクール。パソコンスキルやマーケティング、戦略立案や組織マネジメント、ワインや地域文化など、実務に役立つ内容を中心に構成している
「1年目から受けられ、僕もパソコンやワインなどの講座を受講しました。生産者さんのもとを訪ねるようになってから自宅に畑をつくり始めたのですが、将来的には、自分でつくった野菜で料理する店を、地元で開きたい。チームを束ねるのはもちろん、夢を実現させるためにも、今後はマネジメントについても勉強していくつもりです。店を経営するには、料理の腕だけではどうにもなりませんからね。自由に学べる環境があるのは、とても恵まれていると思います」(小林さん)
調理風景を映像で見られる

「シェフを呼んでほしい」…感謝の言葉を伝えられた、感動の体験。

披露宴では、入社4年目から少しずつ1会場を任されるようになり、5年目となる今年度はほぼ毎回、リーダーとして動くようになった。
「各会場にサブキッチンが併設されていて、大規模なパーティでは2人体制、小規模なら1人で入って取り仕切っています。新郎新婦のご両親からシェフを呼んでほしいと言われて伺い、『本当においしかった、ありがとう』と感謝のお言葉を頂戴したときは、ジーンときて…心からうれしかったですね」(小林さん)
「お客様の感性にふれる、記憶に残るひとときを提供したい。そのためにブライダルでは、着席時に和洋やメインの料理が選べ、調理風景を会場の大画面で観られるフーディングステージや、料理を目の前で仕上げる1テーブル1シェフといったサービスなど、料理はもちろん空間や時間にもこだわったおもてなしを用意しています。私自身、多くの現場を経験してきましたが、これだけ手を加えているところはありませんでした」
プライベートシェフ
ブライダルのなかでも、日本一、いい料理を出したい。そのためにもコンクールへの挑戦をさらに推進して、よりスキルアップを支援していく方針です」(祢津シェフ)
小林さんも既に後輩を育てるポジションになりつつある。教育に関しても“SKKN”の姿勢で、何に困っているかを見抜き、かといって与え過ぎないように向き合っている。今後はさらに、企画開発にも関わっていく段階。その活躍に、祢津シェフも大いに期待をもっている。
「信州牛のロースト 森の恵みと共に」
「当社はあらゆるプロジェクトに料理人も最初から加わって、料理の部分だけではなく、コンセプトや全体のことも含めてディスカッションを重ねていきます。その部分でさらに成長していってほしいですね。料理人は、お客様や生産者、チームのメンバーなど、人とのつながりを直に感じられる魅力的な仕事。いつまでも好奇心旺盛で働ける、すごく良い職業だと思います」(祢津シェフ)
「信濃雪鱒とアスパラガス ”春の訪れ”」
「途中で辞めてしまうのは本当にもったいない。なぜこの職業を選んだかといえば、多くの人が、自分の料理に誰かが喜んでくれ、うれしかったからだと思います。何かつらいことがあったときは、それを思い出してほしい。自分のつくった料理が、誰かを幸せにできる。この仕事の一番いいところを忘れず、“誰か”ではなく“みんな”を幸せにできると考えられるようになれば、その幸せを味わい続けられると思います」(小林さん)

小林龍之介さんの卒業校

エコール 辻 東京 辻調理技術マネジメントカレッジ launch