INTERVIEW
No.009

「シェフの人柄に惚れました」面接できっ ぱり言い切れるほどの憧れが原動力です。

Nabeno-Ism ナベノ-イズム

今川愛未さん

profile.
長野県・松本第一高等学校 食物科 出身。2016年3月にエコール 辻󠄀 東京〈辻󠄀フランス・イタリア料理マスターカレッジ〉を卒業後、同年7月より、東京・駒形の隅田川沿いに開業した『Nabeno-Ism』にサービススタッフとして勤務。現在に至る。
access_time 2017.05.26

人間性が素晴らしくなければ 三つ星の総料理長は務まらない。

「高校1年のとき、レストランでマナーを学ぶ授業があったんです。そのとき初めて食べたフランス料理に感動して…。味はもちろん、色合いの美しさに心を奪われました」
当初はパティシエに憧れて進学した高校の食物科。卒業と同時に就職するつもりだったが、その日を境に夢が変わった。働くなら三つ星レストランをめざしたい。そこから日本にどんなシェフがいるのか調べるようになり、当時、『ジョエル・ロブション』にいた渡辺雄一郎シェフを知った。その後、同店で行われた辻󠄀調グループの体験授業が運命を決める。
「短縮のコース料理をいただき、渡辺シェフらから色んなお話を聞いたのですが、シェフの生き方や人柄に心底、惚れ込みました。自分を辻󠄀調理師専門学校に入らせてくれたご両親への感謝をずっと忘れず、努力を怠らない。人としてあるべき姿を教わった気がします。人間性が素晴らしくなければ、長年、三つ星レストランの総料理長は務まらない。そう心から感じ、この人のもとで働きたいと強く思いました」

お客様が望むことを察して動き ご満足いただけるとうれしくなる。

「フランス校へ留学も考えましたが、すぐにでも渡辺シェフと働きたかったので、就職面接ではありったけの思いを伝えました。それを印象深く覚えていてくださり、翌年開業するという『ナベノ-イズム』に声をかけてくださったんです。料理をするには、お客様の生の反応を知ることも重要。まずはサービスから入ってキッチンを学ぶのもいいのではと伺い、サービススタッフとして働き始めました」
サービス業務は常にアンテナを張り巡らせておく必要があり、かなりの神経を使う。同じことを伝えようとしても、捉え方は人それぞれ。ちょっとした言い回しで機嫌を損なう恐れもあるため、一人ひとりに合わせた接し方を即座に見抜く目が必要となる。
「2人の先輩がまさにサービスのスペシャリスト。お客様の望まれる対応を瞬時に察する力が素晴らしく、そばで仕事をするだけで学べることばかりです。それでいて物静かなタイプと社交的なタイプ、気質が正反対で、接客スタイルが対照的。指摘してもらえる点もそれぞれで勉強になる。自分自身、お客様が望んでいらっしゃることを察して動き、ご満足いただけるとうれしくなります」

常に意識を行き届かせる姿勢が サービスをするうえでの基盤。

「常に100%の力を出し、さらに努力すれば、より良いものがつくれる。エコール辻󠄀では、知識や技術は当然ながら、携わるうえでの心構えも学びました。料理は究極がありません。自分が努力した分、成長できている実感があったので、深くのめり込んでいきました」
学生時代は、作り方以上に先生たちの動き方を注意深く見ていた。ちょっとした違いで、何秒かでも早く動けるようになる。人の動きを見ればスムーズな連携もできる。一方、包丁の置き方が少し斜めになっているだけでもすぐに怒られた。細かいけれど、ありがたい。常に意識を行き届かせる姿勢は、サービスするうえでの基盤にもなっていると振り返る。
「学校で『少しでも気を抜くと、落ちるところまで落ちるから、常に気を張っていなさい』と怒られたことがあり、いまも心に刻んでいます。高校時代に受けた渡辺シェフの講習で、『怒られることはありがたいと思え』って教わっていたんですよね。辻󠄀の先生方は、良いところはとても褒めてくれ、悪いところは気づけるよう叱ってくれる。いつでも私たちのためにという思いが伝わっていたので、つらいと感じることは全くありませんでした」

「あなたにサービスしてもらって 良かった」というお言葉が励みに。

「『ナベノ-イズム』のオープン当初、『あなたにサービスしてもらって良かった』というお言葉をいただけたんですよ。まだ仕事を始めたばかりで緊張も大きかったので感激しました。毎月替わるメニューについて、作り方など具体的なことまでシェフから習うのですが、それをお客様にお伝えして喜んでいただけると、こちらの喜びもひとしお。お料理はもちろん、シェフやお店のことを褒めていただけるのも幸せに感じます」
渡辺シェフをはじめ、スタッフのほとんどが辻󠄀調グループの卒業生。今川さんと同じく、シェフの腕はもちろん、人柄にも心酔して集まる人が多いという。
「とても和やかな雰囲気で、来店されたらホッとしていただけると思います。渡辺シェフは高い地位にありながらも、全く威張らず謙虚さが変わらない人。私もお客様にとって親しみやすい存在でありたいです。フランス料理は身構えてしまう方も多いと思いますが、その緊張を解きほぐせたらなと。今後はソムリエの資格も取って、さらにサービスの技能を高めていきたい。そこからキッチンの経験も積んで、フランスでも働いて学び、渡辺シェフのような料理人になりたいです」

今川愛未さんの卒業校

エコール 辻󠄀 東京 辻󠄀フランス・イタリア料理マスターカレッジ launch

エコール 辻󠄀 東京
辻󠄀フランス・イタリア料理マスターカレッジ

フランス料理とイタリア料理の現場で、
必要となる技術や力を集中して学びとる。

フランス料理とイタリア料理。
世界を代表する2つの料理の基礎と最新を
学びながら、考え、つくる力を身につける。
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