冒頭の挨拶で、立教大学観光学部特任教授のピーター・フックス氏は「もともと観光は世界で最も古い産業である。巡礼という行動の中で宿が誕生し、その土地の料理が振る舞われるようになった」と説明。そんな歴史に目を向けることで、現在における食と観光のあり方のヒントが見えてくると述べた。
続いて、スローフード運動が発祥したイタリアの地に拠点を置いて活動されている、Genuine Education Network代表の齋藤由佳子氏は、イタリア食科学大学での特徴的なプログラムを紹介。「本大学では食を学ぶ"旅"そのものが授業になっており、文理横断で学ぶことを実践している。食文化と観光は切り離せるものではない。その地域にある資源を理解し、いかに資本化させられるか。そのアイデアやクリエイティビティに活動できる人材の育成が持続可能な観光を生み出す鍵となる」と話した。
辻󠄀調理師専門学校の尾藤環氏は、「美食学(ガストロミー)と
SDGs(サスティナブル)」をテーマに講演。「近年、"美食"という言葉には、持続性という社会的概念や倫理性、地域の多様性など、国連が提唱するSDGsの考えが加わり、食の世界では料理人の価値観をも変化してきている。また政府が掲げるインバウンド4000万人の受け入れには、食×農業×観光の連携が必要であり、それらを繋ぐのが教育機関である」と説明した。